欅坂メモ418 3rdシングル 個人PV感想_2

個人PV、昨日は気に入ったものほど1度しか見ないで感想を書いたので(新鮮な感想を残そうとしつつ、不満を書くなら慎重にと思うと自然とそうなる)、それなりに見返してみた。

上村さんのは、見直せばさらに伏線が巧妙に張られているのが分かって、ほんとに単品作品で通用しそうに思えるほど神々しい作品。最初のシーンで書いてる手紙もそうだし、焼いてもらうなかにテストだけでなくて「進路希望調査」が入っていて、それを上村さんが、不自然に付け足すように言うのも良い。たぶんこの子は、テスト以上にこちらを届けたいのだ。一方、用務員は、テストを親御さんにちゃんと見せないといけないことを指摘し、そうでないにしても燃やさないで隠せば良いという。ごもっともで、上村さんがわがままを言っていることを強調する演出とみせながら、解決するといずれもわがままではなかったことがよく分かる。
- そうした伏線がはっきりある一方で、裏をかく前の本線として、「たかしなっち」をからかう小悪魔っぽい少女という2人の関係性もよく描かれているから、手紙とか隠し事があるとかも、ギリギリまでそちらとの関係で解釈できるようになっている。
- 真相が分かってからこの関係を見直しても、手紙やテストや進路希望調査はいざとなれば自分で燃やすこともできるから、それを彼が燃やすよう必死に頼む以上、やはり彼のことを信頼しているには違いない。母親の命日なのに夜になっても家に帰らず、父親や親族と過ごさないのだから、頼れる大人がいないのかもしれない。この意味で、生徒のためを思うひとのいい用務員「たかしなっち」は、利用されているわけではなく、大げさに言えば親がわりとして見られている。お芋を食べているたかしなっちを見る上村さんは、家族を見るように優しい。ドラマとしては脇役に過ぎない用務員の、仕事にささげた人生にも、たき火の暖かい光が届いている。
- こうしたウォーミングな内容に加えて、台詞回しなどでは上村さんが言うとおり「むしろ喜劇」なところがあり、嘘泣きでいったん冷静にコーヒーを置くのも面白いし、そのあとのわざとサンプリングした泣きまねの音が、たかしなっちが近づくにつれて大きくなるのも面白い。見る人が思わず頬を緩める場面が十分に用意されている。

傑作だ。


ねるさんのは好きなところがいろいろあるんだけど、「好きです」っていうこういう作品ではキラーフレーズでクライマックスでしか使わない言葉を、練習では2回も簡単に言ってしまうところとか、「転校まであと○日」っていうセリフが最終日だけは「転校まであと…ゼロ」って、ついにここまで迫ったことを実感する表現に変わるところ(そこにおびえと決意が表れる)とか。最後の「ルールは破るためにある」という、アップで視聴者に聞かせるようなひとりごとから、シームレスに男子生徒の視点に切り替わってアップのまま「あのね」からの告白に入るのも面白い演出だなと思う。


ひらがなけやきさんの短歌を練っているときに鉛筆を握る手を映しているところが好き。柿崎さんの転がし方を長めに映してるところとか、齊藤さんが鉛筆を握った手のまま指で字数を計算してるところとか。この2人はくちびるの下に縦に鉛筆を挟んでるカットもある。悩んでるときの手元って無意識が表れて面白い。


今泉さんのはあらためて見てもいつも通り(テレビで見せる「今泉佑唯」)で、そのままで、ちょっとワガママで楽しい天使としての演技が完璧に成立しているのには笑うしかない。


尾関さんの台本はほんとによくできてるなと思う。こういう作品はそれっぽい雰囲気だけでも視聴者をキャッキャ言わせられるんだけど、「ほどほどいい加減だけどロジカルなダイイングメッセージ」はどれもよくできているし、コメディに必要な要素も幅広く十二分に入っていて無駄な要素がない。個人PVにこれだけ丁寧な作品を作っていただけるのってファンとしてありがたいことだなと思う。


鈴本さんのは、高校生設定だから1歳若返って17歳での餓死になるんだなと、テロップを見ていて急に気がついた。鈴本さんってまだ高校生みたいな雰囲気あるから1歳引かないとこの寸劇に当てはまらないことが妙に発見だった。それにしても表情の演技もナレーションもテロップも素晴らしい。


オダナナさんのエピローグの「答えはこれ」は、こう書いたうえでわざとはっきりと説明してないんだから、特定するのも無粋な気がするけど、実際、どういうことだろう。まずエンディングでオダナナさんが走っていったのは元彼の「もう、別れよう。ごめん。」を文字通り受け取ったオダナナさんに、カッパが「何事も本質を心で目で確かめないといけない」と説教したことで、再会して真意をただそうとしたのだろう、とここまではまず間違いない読み。ではなぜカッパと河原を走っているのか。やっぱり振られて戻ってきて、そのあとすっきりして友達としてカッパと仲良くなったと考えるのが自然かな。いや、実は元彼もまたカッパで最後に出てるのは元彼説っていうのを考えて、そうすると彼が好物って言ってたトマトのショートケーキ(これはカッパの共通好物)を作ってたのも自然かなとか、別れを切り出されたのはキュウリフルコースを出されたからかなとか思考は弾むんだけど、冒頭に戻ってカッパ釣りのシーンを見ると、カッパを気味悪がってるからこれではないらしい。LINEの元カレのアイコンがもう少し鮮明ならヒントになりそうだけど、それも材料にならず、というわけでカッパと友達になった説をとりあえず採用する。子供どこに行ったのかって言われると困るけど。


小池さんの作品の黒板に書いてあるバレー部のモットー「もっと敵を痛めつけよう」がちょっと怖い。トーテムボール作るのに浮き輪盗んできたりするし、わりと目的のためには手段を選ばない部活なのだと思う。刑事さんもその窃盗と器物損壊を気にも留めないからこの地区全体が実はスラムのようなところで、それを察した真壁川ナツは君子危うきに近寄らずですぐに転出届を出したのである。という妄想。


齋藤さんの、B級ムービーとしてはほんとに好き。撮ってる監督が楽しさから、それこそミニ四駆のチューニングをするようにして、映像やナレーションの細部に至るまでこだわりを示してるのが伝わってくる。作りたいものを作るのって良いことだな。

よねさんのは、文庫を(あるいは表紙カバーを)小物として作ったのかな。少し岩波を思わせるけどもちろん違う。積んであるなかに新潮文庫らしきものがあるから、その辺りは本物の本で、手に取った3冊だけカバーを掛け替えたのかもしれない。「女生徒」や「夢十夜」の表紙カバーの下に少し見えるエメラルドグリーンの色合いが意外性があって面白い。

ベリカさんのはいろいろ小技が利いていて、ほんとにそつがない。「空も飛べるよ」ってナレーションをあえて付けないところとか、「悲しい気持ちも」のところでピアノの音の切り替わりだけ映像に先行させてるところとか、自分の理想の身長なのか相手の身長なのかわからないけど、それを定規で測って柱にテープを貼るけどずいぶん高いところとか、口紅でハートを描くところとか、私の好きな人ってことで鏡に跳ね返った自分を映すところとか(陳腐な物言いだけど、恋とはしょせん自己愛なのだ)、レターボックスの上面にアオコがいるのとか、そうしたいろいろな工夫が、ひたすら続くモノローグを飽きさせない。

2016.12.01 | Comments(0) | Trackback(0) | 乃木坂・欅坂

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プロフィール

Author:tieckP(ティークピー)

だいたいどこでも曲を作って、自作曲には詞も書いてましたが、文章を読み書きするのが特技で、最近は欅坂46さんのブログや番組についてメモをとる日々です。乃木坂さんはずっと深川さん推しです。 twitterのアカウントも@tieckP。メールアドレスもtieckP+gmail.com(+の代わりに@で)です。お気軽に連絡どうぞ。

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