けやき坂メモ 「線香花火が消えるまで」 詞の分析

たまには詞について書こうと思う。

「線香花火が消えるまで」

テーマ

秋元さんは、詞を書くときにたいていは1つテーマを用意する。
この曲の場合は、線香花火という儚いものが一夏の恋と重ね合わされているわけで、あとはこれを主題にストーリーを書くなかでいろんな比喩を取り入れていくのが、秋元さんらしい作詞ということになる。


Aメロ 掌で囲いながら~時間を稼いだんだ

Aメロでは情景描写を入れることが多い。これは、素人がもっとも評価しない箇所で、彼らが気に入るフレーズは結局、ストレートな格言だったりするわけだけど、本来、詩や文章のうまさは、心理や考えをそのまま言葉にせず、いかに行動や風景で描きあげるかということにある。そういう意味で、秋元さんは古風なこの伝統をわりあい遵守するタイプで、僕はそこがけっこう好きだ。

ここでは描かれるのは、暗闇に火を灯して、それを線香花火に付けて良いか迷う場面。「最後の線香花火」という表現から分かるように、線香花火はひとつではない。一夏の恋だとして、おそらくたくさんのイベントがある、それがたくさんの線香花火だったのだけど、「最後の線香花火」は別れ際の最後の情熱を暗喩する。それが終わることを知っていて始めるのには勇気が要って、それに怯える少年の気持ちがとてもうまく描写されている。「月明かりだけになって愛が見えにくくなる」ということは、おそらく少年の愛は消えるわけではなく、ただ見えにくくなるだけで、きっと未練が残るのだ。


Bメロ 2人しゃがみこんで~気持ちが分かり合える

しゃがみこんだことで同じ視線になるということは、身長だけでなく、相手の立場やこちらの立場といったこと、社会的なお互いのズレ、価値観の違い、そうしたものがこの瞬間には消え去るということを表す。誰もが昼の社会では自分を大きく見せたがるなかで、暗闇で「小っちゃく」なれば同じなのだ。終わったらまた立ち上がらないといけなくて、それが別れの理由なのかもしれないけれど。

そして、「気持ちが分かりあえる」というところで秋元さんらしいけど、正解をパッと出してしまう。全部、詩的なままに結論を述べない詩というのは、僕は好きだけど、多くの人には届かない。「君の名は希望」なら「希望とは明日の空」と言ってしまうし、「何度目の青空か」なら「君はもっと強くなれるよ」と言ってしまう。それが大衆作詞家、秋元康だ。


サビ チリチリ燃えて~儚いものって忘れられない

秋元さんは、わりとストレートでダサいことも言う。「街に帰って 普通の暮らし」なんてとても陳腐だけど、そういう使い古された言葉のほうが理解されやすいと割り切っている。「儚いものって忘れられない」なんて、この詞を書いた主題を明かしてしまっている。秋元さんの技量なら、これを明かさずに、聞き手に「ああ、線香花火の儚さがテーマなんだな」と思わすこともできるけど、歌を聞くときにわざわざそこまで読み込んでくれないひとが多いこと、作者の自己満足に終わることが多いことを彼は知っている。強いて言えば、普通は桜について使う「儚いからこそ美しい」というクリシェを少しアレンジしたところに味があるかもしれない。

それでも「チリチリ燃えて チリチリ開く」の、「燃える」と「開く」という普段は並べない動詞を並べているのはうまいところ。この2つを結ぶ主語は何だろう、燃えて開くものって何かあるのかな? という問いが出されて、「炎の花」という正解が出される。この辺は、言葉で新しい表現を生み出す詩人らしいところ。


2番Aメロ 公園の古いベンチの前~心が油断してた

Aメロではふたたび情景描写に戻る。ここでは、彼女のほうから線香花火を持ち出したことが分かる。少年は恋がずっと続くと思っていたが、彼は彼女のことをよく知っているから、今度の線香花火が恋の終わりのに気付いた。「別れよう」って台詞にしてしまえばダサいところが、こうして行動で描かれるのが詩の美しさ。

「遠くで列車の汽笛が聞こえて」切なくなるのも、この旅先からの帰りを思い起こさせるから。日常を忘れて過ごした観光地に、移動を思い出させる列車の汽笛の音がして、終わりが告げられる。あるいは少年はもうすぐ観光地を去るんだという感傷性から、汽笛の音に敏感になっていたのかもしれない。


Bメロ 僕は変わらない~別れを選んだのは

そんなに描写がない雑な箇所に思えるかもしれないが、「僕は変わらない変わらないそんな君が好きだ 今でも」という箇所で「変わらない」を繰り返しているのが面白い。この「変わらない」は僕と君のどちらにかかるのだろう。

「僕は変わらず今でも君が好きだ」というのは間違いなく読み込めるところで、たしかに彼は別れを受け入れられずに未練がましくしている。

でも、同時に「変わらないそんな君が好きだ」とも読める。おそらく、彼女が別れを切り出したとき、少年は反対したのだろう。でも、彼女は一度決めたことは譲らない「変わらない君」で、少年はそんな強情な彼女が、強情だからこそ好きなのだ。


サビ チリチリ熱く~惜しくなるんだ

落ちる玉を涙に喩えるのは、ベタを好む秋元さんらしい、オリジナリティのないでも普遍的な表現。

それでも「風が吹いたら落ちてしまうよ」というこの結末の説得力を出すために、ここまでに1番Aメロでは火を付けるのに「掌で囲いながら」マッチを擦り、「風の向きを気にしたり」しながら時間を稼いでいる。風でいまにも落ちそうな線香花火、つまりもう別れが目前という恋の火を少年は必死に一瞬でも長く保とうとしたのだ。


Cメロ ふいに一瞬~君と僕の八月

別れの前の情熱は、別れを知っているからこそいつもよりも激しい。ろうそくや電球は消える前に一瞬、激しく燃える、という最後の激しさを表す常套句があって、それをここで「ふいに一瞬 パチパチと爆ぜて」という描写に変えて用いている。

そして、1番のAメロにあったように、これは「最後の線香花火」で、2番にあったように「いつもの線香花火」だから、線香花火は一どきりではなく、夏の間なんどとなく繰り返し楽しんできた。だから、「楽しかった君と僕の八月」全体が、これまで燃やした線香花火を全て思い出すようにして、いま最後に火を付けた線香花火に凝縮されて振り返られる。この曲がテーマにしたほんの一本の線香花火に火が付いて燃えるまでの儚い時間には、少年にとって一夏の恋全てが詰まっているのである。

その火の玉が最後に弱まるように、曲の最後はボーカルのみの「Fu Fu Fu」が続き、最後のFu とともに落ちた。

2018.06.21 | Comments(0) | Trackback(0) | 乃木坂・欅坂

けやき坂メモ 『走り出す瞬間』追記

「線香花火が消えるまで」
この曲の歌唱メンバーは金村・富田・松田さんなんだけど、まあとりあえず3つのパートがある。
低音がしっかり出て帯域が広い1人、高めのエネルギーがまとまってる感じの1人、少し声量は落ちるけど喉がとても開いていて高音に伸びやかな発声をしているちょっと鼻声の1人。オーディションSRを前に聞いた感じで言えば、おそらく低音が富田さん、高めのまとまってるのが松田さん、喉が開いてるのが金村さん。

歌割りは1番はこの順番で2ローテ、2番は高めのまとまった声からで2ローテ。Cメロは最初の順で1ローテのあと3人全員。

それでこのまとまった声のひとなんだけど、わりとアタックの瞬間に音程が揺れるというか、良くいってしゃくりみたいなところがあって、ソロ歌手だとむしろこれくらい味付けがあったほうが良いんだけど、もしかするとひとと混ざったときにちょっとぶつかるのかなという気はした。でも、全体にキレが良いし、「ちっちゃく ちっちゃくなった」のところの強弱表現なんかほんと上手いなあと思う。自分の声を大きくても小さくても自信を持って使えてる。
低音のひとは、抜群に歌い回しまでハマっていて完璧だなと思った。タイミングに乗せるべきところだけでなく、あえて少し遅らせるところもリズムが非常に心地よい。「なぜだ なぜだ 誰のせいだ うー 別れを選んだのは」のなぜだからのリズムの遅らせ方から早めに「うー」が入るところなんか抜群に歌いこなしてて、ファンになってしまうレベル。3人目も、アタック感が強くない声質のなかでうまく曲に合った雰囲気を作って歌っていて、別種のうまさを添えている。

「未熟な怒り」
ラテン系のアレンジと4つ打ちを組み合わせてるのなんかは良い味付けなんだけど、個人的にはBメロのチャーチオルガンにサビとソロのケーナだけでそうとうギリギリまで攻めてると思うので、そこにさらに最後のギターソロはちょっと詰め込みすぎかなあと思ってしまう。

「ノックをするな」
まだはっきりと聞き取ってないけど、おそらく、かとしさんソロ、富田・ベミホ、高瀬・東村の組合わせなのかな? でローテさせている。ちょっとこのなかだと3パート目の声が暴れてるなあとは思った。暴れて良い曲なんだけど、歌声というよりは地声で暴れている感じなので、目立つことは目立つ。アイドル曲だからそれも良いよねっていうことなら、僕はたしかにわりと良いかもねって思う。むしろ、遠慮がちな発声の2パート目はもっと目立っても良かったかもしれない。

1番 1「ダダダ」 2「コココ」  3「分厚い」 1「孤独で」 2「真夜中」 3「憂鬱な夢」全?「トイレ」
2番 2「ドドド」 3「話相手」 1「エエエ」 2「電圧」 3「不安定」 1「眠ろうと」 2「まぶた閉じる」 全?「絶望とは」

ところで、いまのいま歌詞を見るまで、「うるさいよ!」の部分、「うざいよ!」だと思っていた。
それにしても三音続ける最後の「エエエ」だけ、「エエ エレ(ベーター)」になる作詞って外し方が上手いなあと思う。「コココ 心」で音を5回続けるのも上手いし。

「キレイになりたい」
1番、2番ともに3人ソロでのローテ。声量があってパンチのきいた低めの声が小坂さん、喉が開けていて高音の滑らかでツヤのある声がベミホさん、耳を引く高音でちょっと安定しないけど、強弱も付けられて将来の可能性を感じる声が丹生さん。1番は小坂「なんど」→ベミホ「鏡に」→丹生「純情くらいじゃ」の順番で「魔法は」から全員、2番はベミホ「ママに」→丹生「ずっと」→小坂「思ってるだけじゃ」の順番で「媚薬が」から全員。それにしても、3人の声が重なっているサビはほんとうに気持ちよくて、ラスサビ前のBメロを敢えて分けなかったのも納得。アタック感を小坂さんの低めの声と高い丹生さんの声が出しているところを、ベミホさんがレガートな歌声でならしている。

「夏色のミュール」
ソロ部分は1番が東村→影山→井口→高瀬の順番で、2番は井口→高瀬→東村→影山かな。
やっぱり、いまいちラスサビ前の間奏の意味はよく分からないけど、他の部分はけっこう好きになってきた。でもカタルシスのないアウトロはなしで、サビの最後を3回続けての終わりで良かったんじゃないかなあ。

「おいで夏の境界線」
この曲を作った方は、まさに全盛期AKBの末期に「ギンガムチェック」を作っている方で、かなりしっくりきた。だから、オマージュっていうか、時代を作った方がそのまま再現しているということ。

「三輪車に乗りたい」
さすがに歌割りは誰でも分かる。柿崎さんのパワフルな歌声はいっそロック系で聞きたい力強さで楽しみだけど、声を張ったときの母音がもうちょっとはっきりすると良いかななんて少しだけ思う。佐々木美さんに比べて「オ」が「ア」にかなり近い気がする。


そういえば、ソロパートある曲多いけど、ビブラートを積極的に利かせることってほとんどないんだなあと、中森明菜さんをカバーしたときはバリバリに利かせてた齊藤さんでも使っていないのに気付いて思った。よく考えると、坂道全体でも生田さんのソロくらいしかビブラート強いイメージがない。いま聞き返すと、西野さんは「ひとりよがり」でも「ごめんね、ずっと」でもその後の曲でも積極的にビブラートをかけてる。漢字欅だと小林さんがナチュラルにビブラートかかる感じがする。佐々木美さんもときどきかかるんだけど、同じ場所でも1番と2番で違ったりするので無意識なのかなあと思う。まあ、上手いと言われてるレベルのひとはみんなかけようと思えばかけられるし、富田さんも松田さんもオーディションのときのを聞くとかかってるから意図的にかけてないんだろうけど、金村さんなんかSR見ると抜群にきれいにビブラート自然にかかるし、武器にしてほしいくらいだなあと思う…と考えてもう一度細かく聞き返したら、「線香花火」の金村さんは2番の「好きだ」のところでけっこう強めにビブラートかけていた。Cメロの一番盛り上がるところは敢えてノンビブなんだろうな。

2018.06.21 | Comments(0) | Trackback(0) | 乃木坂・欅坂

けやき坂メモ 『走り出す瞬間』感想

変わるかもしれない、変わるだろう、最初の感想。あえてその曲を聞きながら書き、繰り返し聞かずに書く。

「線香花火が消えるまで」
声がユニゾンで重なっていないところはとても良いなあと思う。アイドルでユニゾンよりソロのほうが聞き心地が良いなんて珍しい。サビで声がぶつかりすぎてちょっと入り込めなかったんだけど、Aメロ、Bメロ、Cメロとほんとに安定しているし、曲も良い。アレンジもリズミカルだけどうるさすぎなくてとても好き。最後はアレンジは良いけど最後の一音にりきみすぎてうーんって感じだけどこれはこれで。あ、あとサビの歌唱はもうちょっと「一夏が過ぎ」みたいなところでリズムが跳ねてくれたら抜群に好きだったと思う。

「未熟な怒り」
けっこうBメロの入りが唐突ねという印象。聞き込めば変わるだろうけど。秋元さんもサビはけっこう無理な詞を乗せてるなあと思う。いろんな音を使ってごちゃごちゃしているけども、贅沢と言えば贅沢。歌はまだちょっと曲の表情と声の表情がズレている気もする。初々しいというか。アウトロもうるさいなあと思ってしまった。

「わずかな光」
思っていたとおりのGIZAっぽさ。佐々木美さんの声質と歌の表現も完璧。ほんとにこの曲は、言い方は悪いけど、アイドルという文脈抜きでひとに聞かせたいし、これを言ったらさらに怒られるけど、僕はアイドル曲を聴くとき、ある種のボーカルの荒さにも好意的だけど、誰もがそうでないことは知っているんだけど、この曲の佐々木美さんの歌はその点、まったく隙がない。普通に、ヒットアニメとかの主題歌になっていたらスマッシュヒットしておかしくない普遍性を持っていると思う。僕のメンバーへの好みとかグループへの偏愛とかを除いて、新曲中で一番好きな曲。

「ノックをするな」
これこそ逆に、アイドルが歌ってると思っていなければ、声質と歌い方だけで激寒で一瞬でとばす曲だと正直思う。でも、僕はアイドル好きなので、そこをオフして考えれば、やっぱりサビのピアノのコードとか、ドラムやベースのジャズっぽい大人のロック感は好き(でも、それとこのボーカルは全然合ってない)。たぶん、40代とかの男性ボーカルがけだるそうに歌うほうがマッチする。でも間奏の音作りはその渋い方向性じゃないので、なんかどこを向いているのかほんとうに分からない曲だけど、凡庸な曲より意外とハマるかもしれない。

「ハロウィンのカボチャが割れた」
イントロが完璧だと思う。明るい方向性だけど、音の質がとても良くて、曲全体のトーンを一寸のズレなく紹介している。これこそけやき坂らしい、品の良いハッピーオーラ。まあ、齊藤さんから潮さんに声が変わるところなんか声質が安定しなくてびっくりするのだけど、それもこのファニーな祝祭曲では魅力だろう。Cメロのあと、サビに入る前にオルガンが暴れてるところってやっぱり誰跳べオマージュっぽいよね。サビのところ「だーれよりーも」って歌い出せると思う。

「約束の卵」
こういう曲は、聞いたことがあるような気がする曲であることが大事で、僕は聞いたことがあると思う。それ以上の感想はないけど、それを目指した曲だから、それで良い。

「キレイになりたい」
歌謡ロックど真ん中。たとえばレベッカのフレンズとかああいうの。小坂さんの力強い声とベミホさんの少し高めの歌声らしい声はもちろん、丹生さんの声好きだなあ。丹生さんはこの声でうまく感情を乗せていて、あんまりそれができるひとはいない。間奏の、スパニッシュを思わせるギターソロは浮いてなくてとても良い。こういうのをアイドル曲で悪目立ちさせないのはセンス。最後の不協和音もそうだよなあっていう安心感あって好き。

「夏色のミュール」
思ったよりイントロの音作りは安っぽくなかった。もっとカラオケっぽいかなあと思っていた。Cメロは好きだけど、そのあとの間奏はなんか入り込めなかった。良く言えば、作曲家さんが自分の痕跡を残したかったのかなあと思う。アウトロも要らなかった気もする。

「男友達だから」
こういう曲を神曲と思う人に、意外とこう言う曲を作るのが難しいってことはないんだよ、なんて冷や水をぶっかけるのは悪趣味というものだと思う。かとしさんの歌声もけっこう編集に苦労していると思うけど、ライブで感動させているのだからモノにしたということだと思う。僕はみなが感動するものに対して冷笑的すぎる。ちなみに杉山曲は好きだけど、これは杉山節ではなく、もっと普遍的なアレンジだよ。

「最前列へ」
この曲、大好きなんだよね。壮大だけど音作りは柔らかくてじんわりと温かい。Bメロを除いて4つ打ちなのに強迫的な感じがないのがいい。攻撃的ではないけど骨太に秘められた決意みたいなものが音楽性としてとても良く表現されていて、曲と歌詞と歌い方がみんな同じ方角を向けている曲。

「おいで夏の境界線」
やっぱり、イントロのドラムトラックをフィルターかけてかぶせる感じは「Everyday、カチューシャ」っぽいし、サビは「ポニーテールとシュシュ」っぽい。サビのあとの部分は「Every every everyday、every everyday カチューシャガール」って部分を思わせる。まあ、それくらいこの曲はAKBの夏曲をおそらくは意識的に踏襲してるんだけど、Bメロなんかは凝ってるし、オマージュとしての良い距離感だと思う。

「車輪が軋むように君が泣く」
やっぱり、全体の壮大なアレンジに対して、真ん中で鳴るシンセがユーモラス過ぎると思う。AメロとかBメロはほどほどにフォークっぽさを狙っているのは分かるけど、そんなにメロディーライン自体が好きではない。サビの最後も含めて、別の文脈のメロディーをそこに入れるかあっていう感じで僕には気持ち悪い。言いたくないけど、全然プランが見えないつぎはぎのような曲で、このアルバムで唯一、はっきり好きではない曲。

「三輪車に乗りたい」
正直、Aメロ冒頭の柿崎さんの声は強すぎるというか、もう少しコーラスかかるくらいが個人的には好き。2番で佐々木美さんから入ると歌声らしくなじんでいてホッとする。あとBメロからサビがやや唐突かなと思った。それに2番の「アパート引っ越したと聞いた」の1つめの「た」はちょっと暴れすぎていると思う。だから試聴したときほど自分のなかで盛り上がりはなかった。でも、敢えてボーカルにエフェクトをかけていないラスサビ1回目のところはすごく好きだな、2小節縮めて次がリピートされるのも大好き。ボーカルを聞ける曲というだけで貴重だとも思う。全然関係ないけど、「○○もんだ」って言い回しをいまでも使うの、秋元さんくらいだよね。

「こんな整列を誰がさせるのか」
これ書いたら怒られるかもしれないけど、僕は2期生の声の統一感のほうが、1期生のバラエティー感より好きかもしれない。なんていうか、持って生まれた声がそれぞれ違って生きているのはすごく良いんだけど、それでも一曲に対して同じ方向性で声が整っている感じがあんまり一期さんの曲からはしなくて、みんな自分の得意な歌い回しを変えようとしないのがちょっとひっかかる。編曲はベタなのを作るのとても楽しかっただろうなあという感じが伝わって来て好き。ある意味、大人がこれを作るのは悪ノリなんだけど、それをメンバーは素直にとてもカッコいいと思っているというのは、音楽のリバイバル性としてとても良いこと。アウトロもオシャレで大好き。

「居心地悪く、大人になった」
なんていうのか、中ノ森BANDがやるスローバラードみたいな感じが思い出される。あっちのほうがやんちゃで、齊藤さんのほうが整っている発声だけど。サビがコーラスをかけたエレキギターだからそういう感じで全体いくのかと想像してたら、アコギとエレキを組み合わす感じなんだな。「あの日あの時」って言われると「ラブストーリーは突然に」をちょっと思い出す。

「割れないシャボン玉」
まあ、こういう曲だなって思っていた感じの曲。手癖っていう感じがするのであんまり同系の別の曲との違いが分からない。いや、分かるんだけどなんか、インスタントラーメンを作るのに、ためしに卵を落としました程度に調理した曲だなあと思って。アーティストではない歌手のアルバムの埋め曲は本来それで良いんだけど。声の魅力は生きてるよね。

「ひらがなで恋したい」
すでに何度も聞いているので新曲という気分ではないんだけど、良いんじゃないかな。もう振り付けの魅力の曲だなあと思ってしまっていて、いまさら曲単独で判断できないと思ってしまった。


なんか、最後の方ちょっとテンションが上がっていない感じで申し訳ないけれど、以上です。アルバムのリードトラックは「期待していない自分」で良かったと思う。好きな曲は新曲のなかだと「わずかな光」と「線香花火」と「最前列へ」が上位。ほかに「ハロウィンのカボチャ」「キレイになりたい」「三輪車に乗りたい」「整列」は魅力あるなあと思うし、「約束の卵」「男友達だから」「境界線」「居心地悪く」「シャボン玉」「ひらがなで恋したい」は狙いをうまく消化してる曲だと思う。

2018.06.20 | Comments(0) | Trackback(0) | 乃木坂・欅坂

けやき坂メモ バンジージャンプとウォーリーを探せ

漢字欅さんの番組は面白かったけど、もちろん今回教わったままに大声を出し続けるのはキャラに合わないだろうし、無理しても心から楽しんでいないガヤは声からそれが伝わってしまうから、なんていうか、必死に声を出すよりは、ひらがなさんみたいに楽しんで、素直にカメラに楽しさを乗せて欲しいな、と思った(でもはっきり言って、試食するひとを募られて誰も行かないのは、ガヤがどうとかでなしに、番組の進行を滞らせていてどうなのかなとは思った。おもわずこだわりグルメ回を見返してしまった)。

老害になってしまうけど、ずっと前からけやかけとKEYABINGOでよねさんがどれだけガヤを頑張ってきたか何度も書いてきたし、今回の齋藤さんみたいにそれが浮いてしまうような空気はやっぱりおかしいと思うから、変わると良いな、と思う。


ひらがな推しは、跳べなくてつらそうなひとを見るのは少し苦手なんだけれども、でもまあ、ほんとに無理なときは跳ばさない判断をスタッフがするだろうから(実際、「けやかけ」ではジェットコースターレベルでもリタイアをOKしてきたので)、積極的に跳んだひとや、ギリギリの壁を乗り越えたひとの達成を素直に楽しみたいところ。何より、全員参加回は、ウォーリーを探せ的な、よく見ると面白いことをしている子を見つける楽しみがあるので繰り返し見る価値がある。

乱雑に目に止まったところを列挙すると

・ヒット祈願の内容が、おそらく橋の近くだからかメンバーに発表前に予想されていて、読み上げ中にもうかとしさんらが「ジャンプ?」と言いあっている。それでも発表に合わせて大きなリアクションをするところはさすが。

・跳べたメンバーのなかで高いところ苦手と言っているのは、柿崎・金村・富田・松田・ベミホの5人なんだけど、このなかでも本番に余裕そうに跳んでいる富田さんと松田さんは、跳ぶとき以外の表情がかなりナーバスで(特に小坂さんが跳ぶときの松田さんなんか泣きそうだし、富田さんも虚勢で跳んだあと、落ちている映像がほんとに怖そう)、実際に相当苦手なのだと分かる。この2人は能天気な目立ちたがりタイプではないのに、バラエティでは積極性を見せているように、自分を鼓舞するのがうまいのだろうと思う。

あと柿崎さんはみんながバンジーの恐怖でリアクション薄いなか、安定して笑っている絵を供給している貴重な存在。柵側では高本さんも目立つって、コメントも拾われてる。

・ヒット祈願のセリフは「ひらがなけやき 1stアルバムがヒットしますように」というのがテンプレで、トップバッターの佐々木久さんはこれを言うのがむしろ正解だけど、他の余裕がある人はこれ以外のネタを盛り込みにいってる。個人的にはこういうときのワードセンスがすごく好きで、なかでも好きなのは、最後に足すだけでなく、「ヒットしますように」の部分さえ置き換えているパターン。特に柿崎さんの「これからも、どんどん坂を登り続けます! I am 16 years old!」っていう完全に言い換えにいった姿勢はさすがセンス系で、特に前半が良い。

・これはたぶんあまり気付かれてない発見だけど、佐々木久さんがトップバッターで跳んだあと、柵の一番右に映っているひとが恐怖で腰を抜かして倒れている。6:32くらいで齊藤さんがそちらに歩いていくので、彼女かもしれない。

・探すとかでなくみんな気付いているけど、キャプテンが最初に跳ぶだけでなく、それが楽しかったと告げてひとの恐怖を和らげ、しかもみんなの力を強調するという100点満点のワードセンスで素晴らしいと思う。それを聞いての2期生の憧れの眼差しがすごい。

・井口さんの「京子見ててね」は、自分を奮い立たせるためではなく、ひらがな一番のびびりである齊藤さんをむしろ勇気づけるためなのではないかと想像してる。たぶん、あの時点での井口さんは自分が簡単に跳べると思っていて、助力を必要としていなかった。

・金村さんの10カウントダウンにじれて、もう5くらいで「はい」っと喋りたがっているのは面白い。怖いから早く跳びたいのに、それでもみんながせっかく数えてくれているので笑顔を保つ、アイドルってたいへんだ。

・富田さんのパリピコメントに「YO!」ってみんなで返すのが楽しそうな中でも、うしろの丹生さんは両手でポーズしてめっちゃ楽しそう。

・全然発見でもないけど、丹生さんのジャンプからの表情はすごく彼女らしくて好き。日頃リアクションが目立つし天真爛漫さも本物だと思うけど、それでいて瞬間瞬間では空気を読んで自分を制御する能力を持っていて、上で跳ぶまでのコメントは能天気風に笑いを取りにいっているけど、跳んだあとに実は恐怖と戦っていたのがよく分かる。とても大人なメンバーだと思う。

・さりげなくコメントでベミホさんに春日賞をあげている春日さん。けやかけや乃木どこを受け継いでいるのだろうか。流れ的にはおいしいパンを買ってあげて欲しい。

・これもみんな分かってるけど、河田さんが跳べなかったときにとっさに「ナイスファイト」って言葉が出てくるかとしさんの優しさは偉大だと思う。予告からして来週はへたれてしまうのだろうけど、それでもひとを励ませるのは立派。

・宮田さんを応援するとき、松田さんの肩に腕を回している富田さんがとてもチャラくてイカしている。

・個人的にウォーリーを探せ目線で一番好きなところは、13:20秒くらいで金村さんが跳んだあとコメントしてるとき、ベミホさんが少し拍手したあと、推すしかないの手に切り替えてさらに拍手するところ。

正直、来週は間違いなく感動するけど、見るの気が重いなあと少しだけ思う。

2018.06.19 | Comments(0) | Trackback(0) | 乃木坂・欅坂

けやき坂メモ 「期待していない自分」CDTV

CDTVでの「期待していない自分」スタジオ映像を録画して見たんだけれども、正直、これはひらがなとか漢字とかではなく、TAKAHIROさんの創作物という感じで、これを見て好きになるひとも嫌いになるひとも、アイドルではなくTAKAHIROさんのダンスを好きになるか嫌いになるかを問われるだけかなと思った。
言うまでもなく、TAKAHIROさんは幅の広い振り付けをしてきて、彼の作品性がつねに前面に出すぎるなんていうことはまったくないんだけど、この曲に関しては、作品性が強い方だなと思う。

だから個人的には、アイドルのダンスを応援する目で見たなら、今回の振り付けは多くの子がモブキャラになっている時間が長すぎて、正直、退屈だった。ハッピーオーラというか、笑顔があればそれがひとつの間つなぎになるんだけど、ないにしても何かリズムに合わせたノリだったりとか移動とかゆるさが画面を覆わないと、多分、本質的に人間がダンスに求める解放感(クラブとかでつたなくても身を揺らすだけで起きるような快感)を得られないのだと思う。なんて言うんだろう、「これ大人に言われないとやらないよね」というこわばっている振り付けの印象が強くて、かっこいい曲を踊ることの身体的な挑戦の楽しささえ感じられない部分が多い。
そういう意味で、柿崎さんが「背中丸めて」のところで動き出してしまったミスは、もちろんミスなんだけど、人間の動きたいという本能の表れと思うとむしろ自然だなと思ったりする。

まあ、モブを増やすという方針が一般に制作として失敗かというともちろんそんなことはなくて、ひとは自分がモブになると思うと嫌だけど、モブを従える自分になりたいというひとは多いから、漢字欅の平手システムは、平手さん本人の願望はさておき、自分を平手さんに重ね合わせる、あるいは絶対的な存在に憧れるファンの心を見事に捉えている。ただ、佐々木美さんとひらがなにおいてこの主役システムって望まれてるのかなっていう疑問も残る。メンバーが口々に、好きな曲を訊かれて同じTAKAHIROさんだと思うけど「ひらがなで恋したい」が踊っていて楽しい、と答えるのはこの「期待していない自分」の反動もあるのだろうと思う。もちろん、TAKAHIROさんはこんなこと全部分かったうえでいろんな面に配慮してやってらっしゃるわけで、アイドルとそのファンには最後にエクスキューズとして全員が自分の振り付けを踊るところを用意していて、かつ全体の物語としては過去に動けなかった人々が最後には自己実現してバラバラの動きをできるようになるということなんだけれども、もっとその動けているいまが全体に伝わる振り付けが欲しかったとは正直、思ってしまった。


ダンスはそのうち揃っていくと思うんだけど、面白いなと思ったのは、サビの冒頭、「せいじゃない」の「せい」のところで松田さんと富田さんが微妙に右に首というか上体をかしげるアレンジを加えていて、カッコいいんだけど、他のダンスメンを見てもそこは正面向いて胸を2回叩いているだけで、だからどうしてこうなのかは気になる。正直、全員これができたらクールな気はする。松田さんは「見上げてた」のところでも、他の人が右、左、上、と首を回すところ、右、左上、上、という感じで自分のムーブをしていて、ちょっと違うけどさまになっていて目を引く。サビのあとの反るところもひとり反り幅が抜群だけど、それでいて乱している感じがないのはリズム感が良いからなのかなと思う。

サビの前、起き上がる直前に左右の肩を交互に2回入れるというのを齊藤さんがやっていて、ここはひとぞれぞれで何もしていないひともいるんだけど、カッコいいなあと思った。


そういえば、歌割りをメモしておこうと思う。

加藤・齊藤・佐々木美「道の途中で躓いて~」 「いいところ~」
小坂・佐々木久・高本「わずかな段差でも~」 「僕に~」
潮・柿崎・河田・ベミホ「いつも僕だけ~」 「誰よりも~」
井口・(影山・)東村「うまくいかないのは~」 「誰よりも~」
高瀬・宮田・濱岸「背中丸めて~」 「分かって~」
金村・富田・丹生・松田「答えを~」 「分かって~」

2018.06.17 | Comments(0) | Trackback(0) | 乃木坂・欅坂

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プロフィール

tieckP(ティークピー)

Author:tieckP(ティークピー)

だいたいどこでも曲を作って、自作曲には詞も書いてましたが、文章を読み書きするのが特技で、最近は欅坂46さんのブログや番組についてメモをとる日々です。乃木坂さんはずっと深川さん推しです。 twitterのアカウントも@tieckP。メールアドレスもtieckP+gmail.com(+の代わりに@で)です。お気軽に連絡どうぞ。

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